ADVゲームの全体売り上げの減少と回復方法について考える

ちなみに「売り上げが落ちている」の評価は完全ではありませんが、一応業界内から聞いた話としてある程度正しいとしてこの話を考えていきます。ADVゲームの売り上げはだいたい2005年前後をピークとして山を作っているような感じです。この頃は業界内の人と話すことが少ないのでその辺の話は分からないのですが、雑誌の廃刊やら残っている雑誌やWebサイトの売り上げランキングからどうなっているかを簡単に推察することはできます。

なお、あらかじめ言っておきますがこれは「個人的意見」としての考察であり間違いもあると思いますので読み物程度に。もしかすると本当に業界をもう少し良い方向に持って行く考えがここから生まれるかも、という気持ちを込めて書いています。じゃないと自分の仕事の分量にも差し障るし、どうせならその系への企業に就いたりして、というのも含めています。

 

売り上げの減少について考える

まあ、売り上げのピークが2005年前後にあった、というのは疑いようのない事実だと思います。実際、その頃はADVゲーム系の雑誌やイベントがかなりの頻度で開催されていたのに今ではほとんど無くなってしまっている、というところからもうかがえる事実と思われます。

で、減少している原因ですが、一般的には「ユーザーが何らかの理由で離れていった」「新規ユーザーをうまく取り込めていない」の二つに大別できると思われます。そうなるとこの考察はある程度簡単で、前者は「ユーザーの高齢化により<卒業>に近い状態となりプレイしない=購入しなくなっている」、後者は「SNSやゲームアプリなどスマートフォンを使うコンテンツに時間と金額を消費するようになっていてパッケージゲームに時間とお金を使う余裕がない」でしょうか。両者を見ることができる立場なのでだいたい合っていると思います。もちろん、もっと細かい原因もあるでしょうが。

そう考えるとよく言われる「企業や文化は30年周期」の法則に当てはまっているような気がしてなりません。実際、ADVゲームの文化は創生期が1980年代、そしてPC98シリーズとともに大きくなり始めたことを考えると今がだいたい30年経過したくらいということなのでかなり危ない状態なのかもしれません。

私の場合はPC98シリーズから始まって時代をすべて追ってきているのでこの流れを見ているのが非常に悲しいところでもあります。ただ、悲しんでいるだけではただの懐古厨といわれるだけなので今の状態からでも何とか持ち直すすべを見つけていかないと、ということで書いています。

 

ユーザーが離れていくのは仕方が無いとしても何とか新規ユーザーを増やせないか?

これを考えるのは自然なことですよね。年齢制限が解除される世代(大学生など)を取り込めればまだ何とかなる余地が出ると思います。ただ、状況を観察している限りではこれがかなり難しいと言うことは私自身感じていることでもあります。やはりSNSやスマートフォンのアプリなどが持つ 

  • 多数の人間とのコミュニケーション(SNS系)
  • 短時間で効果が得られて継続そのものも簡単(アプリ系)
  • 新しいコンテンツが次々と追加されていく
  • お金をかけなくてもかけてもどちらでも遊ぶことができる

が効いているものと推測しています。

ただ、これをADVゲーム側に応用を考えるのですが、これがなかなか難しい。おおっぴらにすることが難しい(というより表に出るべきではないと個人的には思っているので)ことや、シナリオが細切れになると意味が取りづらいなどがありますので。そうでないとしても、AndroidやiOSにADVゲームコンテンツを移動させることが果たして有効なのか回答が出しづらいような気がします。まあ、一部のメーカーやコンテンツ配信企業ではこの試みをやっていますのでそこからも回答が得られれば今後のこの業界の動きも読めるのでは、と思います。スマートフォンをメインターゲットにして開発する、という形も考えて動くべきなのでしょうかね・・・。

 

配信型でADVゲームを作ったらどうなるのだろうか?

これを見た上で考える発想が二つありまして、

  • 基本プログラムをAndroidなどで配布してそこに少しずつ課金型コンテンツとして追加していって全部そろえると物語が完成する形
  • 体験版など一部コンテンツをスマートフォンで配布する形(できれば広告をこれに載せたい)

ちなみにADVゲームをPCではなくAndroidなどのモバイルでやることの是非はこの場合は置いておきます。前者はパッケージとしてだとアプリ形式に比べてあまりにも大きすぎる、ということを前提に入れた方法です。特にブランドを複数持っている+共通のエンジンを使って動かしているのであればコンテンツ配信企業と組めばやりようが見いだせる方法だと見ています。ただ、パッケージが大きいと分かっているからこそ各社も「初回限定」やら「ショップ限定」やらをつけてはいるのでしょうが・・・。後者については試しでやっている企業もいくつかありますよね。YouTubeなどでプレイ動画を配布してみたりなど。

それでもどちらの方法も新規ゲームでやろうとすると企業側に負荷が大きすぎるのが問題でしょうか。モバイル専門の企業にこの辺の開発を委託して・・・の形でも取らないと内部スタッフだけでこれは厳しいでしょうし、そうでなくても開発費がないところにこの手の予算がかかるのは企業側がもう持たないでしょう。こういう風に考えてみると新規ユーザーを取り込むのも大変な作業ですよね・・・。でもそうしないと自身の企業ひいては業界そのものが縮小の度合いがひどくなって最後にはなくなってしまう、ということを考えると必死にならないとだめ、というわけですね。

なお、この方法は新規ゲームだと、という前提で書いています。既存ゲームであればすでに基本的な費用の回収は終わっているはずなので移植会社にモバイル版の開発をさせて持って行く、という方法をとってさらなる利益を狙うのはやるべきだと思います。既存ゲームも今の若い人であれば特に現代を気にしなくてもいいファンタジーものはかなり行けると思います。卒業してしまった人間に懐古的にやらせるというのもありそうですが。

 

こんなことを考えたのは・・・

自分もこの業界に関わり始めてから期間が長いことを痛感したからだったりします。今年になってから環境が変わっていろいろと若い人と話す機会が増えたためにADVゲームとの関わりについて確認することができるようになったからです。そしてそれをやる前に自分が知っているゲームとのすりあわせを・・・と考えて見てみるとゲームのOP動画の最終更新日が10年前だったり、というのを見ると「そりゃ新規ユーザー層が分かるわけはないよね」という考えに至ったからです。

この考えの下だと、続き物は開発費が安上がりになり宣伝に力をかけなくても一定の購入が見込めるというので企業側にとっては良い面が大きいのですがいかんせん新規ユーザーには敷居が高すぎるのが痛い。過去のゲームのネタや他者のアニメ・ゲームねたはそもそも新規ユーザー層には理解できないので(SNSでも)広がりを見せることが少ないもしくは常連だけで盛り上がって下が入れない。厳しいですよね。

この業界も新しい血を入れてブレイクスルーを起こさないとだめと言うことは見えすぎていやになる状態なのですが・・・。どうすれば良いのでしょうね。特にゲームシステム本体がある程度完成しているように見えるだけにコンテンツが楽しめてかつ今のゲーム形式からちょっと違ったところにあるシステム、というものがどういうものか・・・。案でもあれが私がそのシステムを組んでみてとりあえず出してみる、というところまで持って行くのですが・・・。

 

これに関しては企業でも同人でも協力しますよ。(できれば報酬はほしいですが)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

この記事のトラックバック用URL