Hash Calculator 0.02を公開

というわけでハッシュ計算につきまして新規にいくつかのアルゴリズムを実装すると同時にバグ修正を行いましてHashCalculatorを更新しました。なんと初期公開が2012年末ということで4年以上間隔が空いているのがびっくりというところです。

 

計算可能なハッシュアルゴリズムの追加および更新をしてみた

一つ前の記事で自分のライブラリに追加する、という話は書いていたと思いますがアルゴリズムを追加するということはHashCalculatorも更新できるネタができた、ということだったのでマイナーなアルゴリズムだけではなくもう少しメジャーなアルゴリズムも追加してみました。今回追加したのは

  • BLAKE(224bit,256bit,384bit,512bit)
  • BLAKE2b,BLAKE2s
  • SM3

の3種類になります。BLAKEはSHA-3の公募が行われたときに最終候補にまで残ったアルゴリズムとして有名でBLAKE2系はそれの改良系であり、MD5並みの計算速度を持つということを売りにしているアルゴリズムです。SM3は中国で標準のハッシュ処理として計算方法が公開されているもので中国圏で開発されている規格などでハッシュ処理を使うときによく使われている形式となっています。BLAKEについては公募の関係でドキュメントなどもかなり豊富にあるのですがSM3は範囲がかなり狭く国が公開している中国語の物かIETFが公開しているドキュメントくらいしかないようでIETFのものがあるとは知らず実装テストが終わるまでずっと中国語のドキュメントを訳してやっていました。まあ、数式の部分は共通ですし訳す必要がある部分も中国語の文法などを簡単に知っていれば漢字の意味をある程度共通にとれるので難しくはないところがありがたかったです。

 

KeccakとSHA-3の計算方法は「終端が微妙に」違う

「皆さんも気をつけましょう」という話題です。SHA-3のアルゴリズムは本家であるKeccakをそのまま使っていますが最後のメッセージパディングの部分が微妙に違います。これはSHA-3の仕様をちゃんと確認してみるとよいですがKeccak本体だとメッセージパディングは数式を使わず言葉で書くと

1を追加して0を(ブロック長ビット数-1)まで追加後最後に1を追加する

ですが、SHA-3だとSHA3-nとSHAKEnでは

SHA3-n:01を追加してkeccakの終端処理(1を追加して…)を行う

SHAKE-n:1111を追加してkeccakの終端処理(1を追加して…)を行う

となります。このあたりは仕様書をちゃんと読んでおく必要があると思いますので気をつけてください。多分以前に作ったサンプルだとKeccakの終端処理を使っているために間違っているような気がしないでもないです。

 

中国の暗号化規格であるSMnって複数あるのですね…

SM2とかSM3とかSM4とかあるようです。多分日本語のサイトで言葉を検索すると全く違う単語に引っかかるでしょうね。私も時々「三國無双」の略称じゃないの?と考えしまうこともあるくらいですから。ちなみにそれぞれ

  • SM2:楕円曲線を使った公開鍵暗号方式
  • SM3:SHA-256相当のハッシュ関数
  • SM4:ブロック構造を使った共通鍵暗号方式

となっています。最新の規格もあるようですが今回はそこまでは見ていません。「中国製のCPUで処理に対応した、という記事を見て実装してみたいと思った」というなんとも微妙な動機でやり始めた今回の拡張ですがこの数年間で暗号にまつわることも大分発展したのだな、と思いました。なお私個人だと暗号に用いられる数学の根本的な部分を学びましたので楕円曲線でなぜRSA暗号が成立するのか?といった部分もいまなら説明できるようになっています。

 

ついでにコンパイラのバージョンもアップ

VisualStudio2005からVisualStudio2010に変更しまして対応OSもWin8系およびWin10系を追加しました。これが今回の副産物ですね。数年前にVisualStudio2005で作成して公開したきり一度も更新していないプログラムが複数ありますがそれもやった方がよいのかな…と思っているところです。

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