ガチャの確率を数学的に考えてみると・・・

今回は小ネタで。
スマホアプリのガチャの確率についてはよくネタになっているので皆さんもつぎ込みすぎないように気をつける必要がありますが、今回はそういう話ではありません。数学的に確率を考えてみるとどう見えるか、というだけの話です。
この手の話って純粋な数学で考えるとやっぱり残酷なんですよね。特に確率の話だと。

 

で、問題設定

通常ガチャの確率は単純に「当たる確率が(100×p)%」のように設定されているものが多いです。100をかけているのはパーセント表記に直すためのものでこの後の問題設定でこれがないと訳がわからなくなるからです。
ではガチャの確率についてこんな問題を作ってみます。問題そのものは宝くじ的な物で設定しますが、ガチャでもほぼ同じですので考えてみてください。

ある数字選択式の宝くじはn通りの中から一つを選び、あたりの数字が同じであったときあたりと判定する。このとき

  1. 一回にn通りすべてを購入したときのあたりの確率はどのくらいになるか
  2. 毎回一通りだけ購入してn回継続したときn回目までにあたりとなる確率はどのくらいになるか

を求めなさい。

特によく間違えるのはガチャの場合は問題設定が1.だと思っている人が多いのですが、実際は2.となることに注意しましょう。また、今回は当たる確率は1/nとなるように問題を設定していますが、ガチャの場合は確率がpとなっている(と公式が発表している)場合にはとなるnを使って(つまり近似して)この後を見ていけばいいです。例としては1%ならn=100、3%ならn=33、5%ならn=20ですね。

 

n通りすべてを購入した場合は簡単

こんなことをする人がいるとは思えませんが数学的に考えてみる価値はあるのでこちらの方から。すべてのパターンが異なるのであれば全体としての確率は「当たる確率」×「購入数」となるので式は

となります。つまり当たる確率は100%となります。これは当たり前ですね。すべてのパターンを網羅すればそれはそうなります。

ところがこれがやり直すパターンになるとやっかいなことが起こります。

 

毎回やり直すパターンを継続したときはどうなる?

独立試行での確率を求めるパターンになります。この場合は直接確率を求めるのは難しいので逆のパターン、つまり「n回目までにあたりが出ない確率」を求めてそれを全体の確率(1のことです)から減算して求める、という方法でやります。計算手順は以下の通り。

  1. 1回の試行において当たりが出ない確率は(全体の確率)-(あたりが出る確率)なので
  2. 独立試行となるので、n回目までに一度もあたりが出ない確率は(1回の試行においてあたりが出ない確率)のn乗となるので
  3. n回目までに当たりが出る確率は(全体の確率)-(n回目までに一度もあたりが出ない確率)なので

となります。これだと結果が全くわからないように見えますが、実は2の式は高校での微分積分学では有名な式を離散化(整数のみで考える)して少しだけ変形しただけの物となっているとなっているので、それを変形すれば答えが見えてきます。ここからは高校の微分積分学の知識を使って解いていきます。2の確率のでnを整数だけを取る離散値ではなく連続値xとして扱ってxをどんどん大きくしていく(つまり極限を考えると)とどうなるかというと

となります。というわけで、実はnを大きくしていくとこの確率はだいたい36.8%ということになるわけです。nが小さいときにはもう少しましですが、それでもn=10では2.の確率は34.9%となりますので、10%当たるものでもほぼ同じ結果になります。で、最後に3の計算をすると結果は63.2%となり、だいたい3人に2人まではn回目までに当たりは出るだろう、という結論になります。つまり3人に1人はn回目までやっても当たりが出ないわけですね・・・。

 

この差は意外と大きいよね

これが結論でしょうか。上記の計算を見ればわかりますが、さらに試行回数を増やしていったとしても当たらない人は当たらないですし、当たる人はあっさりと当たって終わりです。たとえば5%当たるガチャがある場合、確率的には40回やっても13%の人は当たりが出ません。まあ、さすがに100回やれば0.6%まであたりが出ない確率は下がりますのでここまで来れば・・・というところです。なおあくまで「確率的には」なのでアプリ側の実装がどうなっているかがわからないとこれが正しいのかどうかは保証できないですからね。というわけでした。

 

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